仏教から生まれた日常の言葉

成城山耕雲寺

第1話 ありがとう

お釈迦様の教えである仏教は、人間としての生き方、考え方を説き示されたものですが、仏教が日本に伝来して1500年ほど経ちました。初めのうちは宮中や貴族の間において信仰されていたものが、しだいに庶民の間にも広まっていき、そして本来仏教語であった言葉が一般に使われるようになりました。そのことを知らないで使っている方々が多勢いらっしゃるので、しばらく仏教語より出た日常の言葉を掲載したいと思います。

ありがとう

美しい日本語の一位は「ありがとう」だという事です。 「ありがとう」は人に好感を与えるすばらしい言葉の一つです。『法句経』というお経に「人の生(しょう)を受(う)くるは難(かた)く、やがて死すべきものの、今生命(いのち)、あるはありがたし」という一説があります。生命あるものは必ず死ぬ時がきます。こうして今ここに生きているということは、自分一人の力ではなく、数多くのおかげによって生かされているわけで、どんなに難しいことであるか、と経典は説いています。人間に生まれた幸せ、生かされている幸せ、この『あるのが難しい』から、感謝の念を表す語として「ありがとう」という言葉になりました。「ありがとう」の言葉をかけ合うことで、自分の心もなごやかになり、相手の心もさわやかにしてくれます。心の交流を図る潤滑油の役目を果たす言葉として、「ありがとう」はやはり美しい日本語だといってよいでしょう。

「ことばの旅」静岡県成道寺住職伊久美清智師、著より


 
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