仏教から生まれた日常の言葉

成城山耕雲寺

第2話 阿吽(あうん)

大相撲の放送で、「両者、阿吽の呼吸を合わせて……」などといいますが、二人の息や心が、ぴたっと一致することをいいます。
「阿吽」は、インドのサンスクリット語に語源をもち、「阿」は口を開いて発する最初の字音であり、「吽」は口を閉じて発する最後の字音で、そこから万物の始源と終極を象徴するものとみなされていました。

大きなお寺の門の左右には、仁王さまが安置されていることがありますが、この二体は形が違っています。
向かって右側は「金剛像」(こんごうぞう)といって、口を大きくカッと開いていて「阿形仁王」(あぎょうにおう)ともいわれます。人間は誕生の時、「あー」と産声をあげるということから、ものごとの始まりを意味しています。
向かって左側は「力士像」(りきしぞう)といって、口はキリッと結んでいて「吽形仁王」(うんぎょうにおう)ともいわれます。人間は死ぬ時、「うーん」といって死んでいくということから、ものごとの終わりを意味しています。

また、神社などには狛犬(こまいぬ)が置かれていますが、これも阿形・吽形の対になっています。
仁王さまも狛犬も阿吽の呼吸を合わせて神社仏閣を守護しているのです。人間も生まれて死ぬまで呼吸が整えられていないと、安定した生活がおくれません。

阿吽には人の生き方についての戒めも含まれているのです。ちなみに、あいうえお五十音が、「あ」に始まって「ん」に終わるのも、この阿吽が起源なのです。

「ことばの旅」静岡県成道寺住職伊久美清智師、著より


 
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