仏教から生まれた日常の言葉

成城山耕雲寺

経営(けいえい)

 「会社を経営する」「事業を経営する」などと使われている経営という言葉があります。一つの事業の基本目標を決めて、その目標に向かって努力し営むことを経営といいます。しかし本来は、自己の完成を目ざして、さまざまに工夫し努力を重ね、自分自身をととのえ形成していくという「人間経営」のことでした。それがいつしか自分の心の問題だけでなく、外に向かっての努力や形成にも用いられるようになり、やがて経済的用語に転用されて定着したものです。さて、経営、経理、経験などに使われている経は「きょう」とも読み、経典、経蔵などと使われ、なじみ深い文字ですが、語源は古代インドの言葉の「スートラ」で、その意味は糸、ひもでした。古代インドには紙はありませんでしたから、乾燥させた木の葉や板に字を刻み、それをまとめてひもでとじ、経典を作りました。その「ひも」(スートラ)が、一括してとじた仏の教えを指すようになり、中国語の訳として経(たて糸)という字があてられました。
 この「経」の語源、一括してまとめる「ひも」の重要なはたらきと、先人の教えを記した経典自体の尊さとが相まって、一般に何げなく使われている「経営」という言葉が「人間形成」という深い意味をもった語であることを思い起こすとともに、その本来の意義をじっくりかみしめてみたいものです。

静岡県成道寺 伊久美 清智師 著より


 
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