仏教から生まれた日常の言葉

成城山耕雲寺

第51話 食堂(じきどう)

  飲食店のことを「食堂」(しょくどう)といいます。堂という字のつくところといえば、お堂、本堂、観音堂、阿弥陀堂、坐禅堂など仏教寺院に多く使われています。とすれば、食堂も寺院に関係があるようです。
 仏教では食堂をジキドウと読み、食事をするところに違いはないのですが、修行道場のひとつなのです。食堂での食事は食事作法に則っていただくことにより、食物への感謝と食事を通して自己を磨くことが目的で、単に空腹を満たすための行為ではないのです。食物が人の口に入るまでには、太陽、水、土、空気など天地自然の恩恵や数多くの人々の苦労があり、それらに感謝しながらいただく。また、自分はこの食事をいただくに値するだけの働きをしたか、食べる資格があるのかと厳しく自己に問い、反省をした上で箸をとるのです。
 食堂という名の由来が仏教寺院から生まれ、食事そのものが重要な意味をもった行為として育ってきたのですが、近年はインスタント食品や調理済みの食品の普及で感謝の気持ちが薄らいでしまった感があります。また現在では食堂の名前が、レストランと言い換えられようとしています。そして比較的安価な店のことを大衆食堂といい、レストランには高級という言葉が付いていることが多いのも興味深いことです。

静岡県成道寺 伊久美 清智師 著より


 
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