S 成城山耕雲寺 仏教から生まれた日常の言葉 精進(しょうじん)

仏教から生まれた日常の言葉

成城山耕雲寺

第66話 精進(しょうじん)

 この言葉は、一般には二つの意味で用いられています。
手紙に「ご精進のほどお祈り申し上げます」と書いてあれば「精進」は「一心につとめ励むこと」の意味をもちます。
また「精進料理」といえば、材料に肉や魚を使わない料理のことであり、「精進あげ」は、野菜類だけの揚げもののことです。
この場合の「精進」は「菜食」の意味となります。仏教でいう「精進」は、「努力」という意味をもっています。自分の将来が、いったいどのように展開するのかということは、人間にとって大きな関心事です。将来は自己の努力でどのようにでも開きうるという考え方と、人間の将来はすでに定められていて、すべてのできごとは、その定め通りに進行するという考え方があります。

 後者はいわゆる運命論で、運命が人間生活のすべてを支配しているという考え方です。もしそうなれば、人間の意志や努力が無力なものとなってしまいます。これに対して、仏教がとった立場は努力主義でした。「精進」の語源には「戦う」という意味があり、苦しみと戦う、つまり、人間の苦悩を滅するために勇敢に立ち向かっていく努力のことをいうのです。この言葉が日本に伝えられ新しい意味が加わりました。日本には仏教伝来以前から、神事に仕える者が、心身を清め、けがれを取る「潔斎」(けっさい)が行われていました。また仏道修行をする者も酒肉や臭みのある食物を遠ざけることをしました。そこで、仏道に励む「精進」と、けがれを取り去る「潔斎」とか゛結びついて「精進潔斎」といわれるようになりました。こうして「潔斎」の意味が「精進」にも入って、「精進」というだけでも酒肉を断ち、身をつつしむことを意味するようになりました。ここから「菜食」が「精進料理」といわれるようになったものです。

静岡県成道寺 伊久美 清智師 著より


 
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