仏教から生まれた日常の言葉

成城山耕雲寺

第75話 殺生(せっしょう)

 「生きもの」を殺すことであり、仏教ではかたく禁じられ 「不殺生戒」という戒律があります。昔、インドで行われていた 宗教行事にはヤギなどの動物をイケニエに捧げる犠牲祭が行われて いました。

 生きとし生けるものは、互いにあすは我が身、上下のへだてなどあ るわけもなく、その生命に危害を加えるなどもってのほかと考えた お釈迦さまを開祖とする仏教は、犠牲祭で動物の命を絶つことに疑 問を投げかけ「不殺生」を主張しました。ところが、仏教の信仰が あついのはよいとしても、最高権力者が法令として殺生を禁ずると なると大問題。たとえば徳川第五代将軍綱吉の「生類あわれみの令」 はひどいもので、猟師も漁師も生活基盤をおびやかされました。

 また、綱吉は自分が戌(いぬ)年生まれだったことから、特に犬を大 事にし野良犬を保護したのはよいのですが、何かのひょうしに犬を 殺したりしようものなら斬首の刑に処せられたといいます。

 ここまで来ると何が生類あわれみで不殺生なのかわからなくなって しまいます。転じて、我が身にとってひどいことがふりかかったと きに「殺生な」というようになったということで、主として関西方 面でよく用いられています。

静岡県成道寺 伊久美 清智師 著より


 
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