仏教から生まれた日常の言葉

成城山耕雲寺

第77話 沢庵(たくあん)

 日本各地にはさまざまな漬物があって、それぞれ作り方や味に特色があります。そうした漬物の中でも、沢庵漬けは最もポピュラーな漬物で、全国いたるところで漬けられています。沢庵漬けは「貯え漬け」がなまった言葉という説もありますが、『沢庵』の文字が当てられているのは、江戸時代の名僧沢庵禅師(1573〜1645)と関係があるのです。正しくは、沢庵宗彭(たくあんそうほう)といって、兵庫県出石(いずし) 町に生まれ、三十七歳で京都の大徳寺の住職となつたものの、 わずか日で引退したといいます。

 沢庵禅師が五十七才、二代将軍徳川秀忠のとき、幕府は大徳寺と妙心寺に圧迫を加え、沢庵はこれに抗議をしたため、山形県の上の山に流罪になりました。しかし、領主の土岐頼行(とき よりゆき)は、宅庵に帰依して手厚くもてなしました。宅庵は、この間に大根漬けの製法を覚え、後に江戸に戻ってから人々に広めたのが『沢庵漬』と呼ばれるようになつたといわれています。宅庵は六十才のとき秀忠の死去にともなって流罪放免となり、三代将軍家光に重用され、よき相談相手でもありました。六十六才のとき、幕府は江戸品川に東海寺を建て開山に請じ、多くの人々に惜しまれながら七十三才の生涯を閉じました。

 こんな和尚のエピソードを思い出しながら、沢庵漬けを味わ ってみるのもよいでしょう。

静岡県成道寺 伊久美 清智師 著より


 
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