仏教から生まれた日常の言葉

成城山耕雲寺

第88話 通達(つうたつ)

 「当局からの通達により○○となりました」というように「通達」という言葉は主としてお役所用語で、上級機関から下級機関に下される指令の通知のことをいいます。もとは仏教の言葉で、矢を射抜くとか、針で刺し貫くことの意味をもっていました。そこから「するどい洞察」とか「よく理解すること」の意味で用いられるようになりました。
 インド仏教のある派によれば、仏教修行の過程において仏教の教えを少なくとも頭では理解しきった段階のことを「通達位」と言っています。もともとの意味は、「理解する」とか「知る」ことであるのに対し、お役所用語の「通達」は「知らしめる」ことであり、同じ文字の言葉でありながら知る方向が逆というのもおもしろいですね。
 とかく、上のほうの人は、下のほうの事情に「通達」していないことが多いようで、そんな人が出した「通達」に、下のほうの人が「通達」できるわけがないといったことはよくあるようです。

静岡県成道寺 伊久美 清智師 著より


 
成城山耕雲寺成城山耕雲寺
成城山耕雲寺
東京都世田谷区砧7-12-22 電話 03-3416-1735 FAX 03-3416-0392
Copyright© 2006-2008 seijozan kouunji All rights reserved.