仏教から生まれた日常の言葉

成城山耕雲寺

第90話 塔(とう)

 「塔」といえば、英語の「タワー」。東京タワーやパリのエッフェル塔、あるいは五重の塔などをイメージする人が多いことでしょう。もとは、インド・サンスクリット語の「ストゥーパ」が中国で音訳されて「卒塔婆(そとば)」と書かれ、略して「塔婆(とうば)」、さらに「塔」となったものです。その起源は、お釈迦さまの遺骨を分けてインド各地に塔を立てたことに由来するのですが、もともと塔といっても土をこんもりと盛ったまんじゅうのようなもので、お墓の原形だったのです。お釈迦さまの遺骨を礼拝するために作られた塔が、中国に伝えられてから立派な建築物になり、日本においては三重・五重などの塔となりました。一般庶民のお墓も、昔は土まんじゅうの上に石をのせる程度だったものが、しだいに木の塔婆を立てる風習が起こり、近世になって石塔が立てられるようになりました。今でもお墓に立てる塔婆の上の方にはギザギザがあり、簡略ながら五重の塔の面影を残しています。やがて、仏教とは関係のない、細長く高い建築物をも塔というようになり、さらに、タワーと名づけられて今日に至っています。

静岡県成道寺 伊久美 清智師 著より


 
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