仏教から生まれた日常の言葉

成城山耕雲寺

第94話 道具(どうぐ)

 農業にとっては鎌やくわ、大工さんはのこぎりやかんな、コックさんなら包丁やまな板というように、どんな職業にも、それに必要な用具があり、それを「道具」といいますが、もとは仏教の言葉で「仏道用具」がつまって「道具」というようになりました。鐘や太鼓から鍋、釜にいたるまで、仏道修行や法要儀式に必要な用具の数は多く、それらを総称して「道具」といっていました。あえて、「器具」とか「用具」とかいわないのは、修行の中で一つひとつが心を込めて取り扱わなければならないものという位置付けをしていたからです。それがしだいに、仏教とは関係のないものまで「道具」というようになりました。どんな職業においても、その仕事を通じて心と技を磨くことが重要であり、そうした道具なしではその職業は成り立ちません。鎌や包丁、のこぎりがさびついていたのでは道具としての役目は果たせませんし、それ以前に扱う人の精神の問題といえます。道具というからには、いわば自分の分身であり、その人の心といってよいでしょう。

静岡県成道寺 伊久美 清智師 著より


 
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