第43話 お彼岸について

彼岸は、「到達彼岸」という意味で梵語で「パーラミター」という。
この世の迷いの岸【此岸(しがん)・・・現実の世界】から彼の岸【彼岸(ひがん)・・・理想の世界】へ渡るといわれている。
春分と秋分の日は昼と夜が等分で、仏教では中道の縁を結ぶのによい日とされ、尊ばれている。
日本では日出(ひいず)る国というだけあり、日没の話より朝日の話題の方が多くのぼります。
インド、中国等では大陸のせいか日の没する広野のかなたに来世があると信じられ、日没の美しさが話題になる。
しかし中国の善導大師は「弥陀の極楽世界は日の没する西方にあり、昼夜の長さが同じ春分、秋分の日に西に向かって合掌念仏すれば浄土に往生できる」と述べている。
「暑さ寒さも彼岸まで」という彼岸の春分秋分の日の前後七日間、わが国では家族揃って墓参りの習慣があり、土着の信仰と結びつき、先祖に感謝報恩をあらわし、生活のくぎりをつけるのに良い季節なので、一般に広く伝わったのであろう。