第51話 仏前結婚式について
結婚式といえば神社や教会で行う場合が多く見受けられるが、本来仏教徒にとってはお寺で挙げる仏前結婚式がある。
その歴史は古く、江戸時代よりほとんどの結婚式は自宅の仏間(仏檀を安置してある部屋)で、すなわちご先祖様の前で行っていた。
ところが明治維新以後、拝仏毀釈の政策もあり、神社が神前にての結婚式をはじめ、又信者でもないのに教会で挙げるものが増えてきた。
仏前結婚式とはどのようなものかと言うと、式の順序は宗派によって若干異なるが、典雅な奏楽のうちに式場(寺院では本堂で行う)に入堂し、参会者一同と共に式師が仏前に結婚を奉告(報告)する。
仏教徒としての誓いを新たにして新郎・新婦は数珠を頂き、夫婦としての二世の契りを約し、三三九度の盃を交わし、指輪を交換する。誓約文を奉読し両家御先祖様へ奉告読経し、再び奏楽で退堂するという荘厳な儀式である。
ご先祖様の前で誓う心のこもった厳粛な仏前結婚式は仏教徒として連綿と伝わる家運の末永い隆昌を願い菩提寺で行うことが望ましい。