第60話 祗園(ぎおん)について
古典文学「平家物語」の冒頭に「祇園精舎の鐘の声 諸行無常のひびきあり・・・」と述べられている祇園精舎(ぎおんしょうじゃ)とは、二千五百有余年前お釈迦様在世当時、インド北部に実在する仏教の聖地である。
ユーサラ国の祇多(ぎた)太子から土地を買った給孤独(ぎっこどく)長者が、仏教教団に寄進した広大な林の園である。
その長者はべーサリーでお釈迦様の説法を聞き、深く仏教に帰依し、自分の故郷に土地を求め、ここに精舎(建物)を建て、修行者の道場にしたのである。
現在の寺院の基であり、お釈迦様は多くの修行者と共にここで生活をして指導されたという。
京都にある祇園は、八坂神社内に祭られた牛頭(ごず)天王が、インドの祇園精舎の守護神であったところから、祇園社という寺が貞観年中(859~877)に建立され疾病の神として人々に広く信仰されて、祇園という名前をつけたという。
又、八坂神社の守護神を祀る行事として、現在の祇園祭りに発展したと言われる。