第44話 韋駄天(いだてん)について

韋駄天というと禅宗寺院の台所や食堂にまつられているのをよく見受けられる。
韋駄天尊者ともいい、そもそもの由来は昔インドでは聖人の遺骨(舎利)を供養すれば福徳を得ることが出来ると信じられており、お釈迦様が入滅された時にも多くの仏弟子たちが仏舎利を欲しがり、それぞれ八大国に分配したのである。
ところが足疾鬼(そくしょうき)という名の通り足の速い鬼神がこの仏舎利を奪って逃げたので、韋駄天という尊者が後を追いかけて取り返したのである。その逸話から足の速いことを韋駄天走りといわれたのです。
この韋駄天は、一説によるとシバの神の子ともいわれ、のちに仏教の伽藍の守護神となり、形は身に甲冑をつけ、合掌した腕の上に宝剣を横たえて、きぜんとした容相で目を見開いている、一般には禅宗寺院の台所又は食堂(じきどう)に安置されている。