第47話 僧侶の袈裟(けさ)について

僧侶が儀式等に用いるのに法衣と袈裟がある。
袈裟は、もともとインドの初期仏教教団の出家した僧侶が用いた三衣(さんえ)からきていて当時は三衣一鉢(いつぱつ)が出家僧に許された唯一の所有物であった。
この三衣とは三種の袈裟を指し大衣、上衣、中衣とに分かれていた。一鉢は応量器という食器であった。
大衣は正装衣とされ、托鉢時や当時王宮に招かれた時に着用し。我が国では大法要時の儀式等に着用しており、上衣は修行の時に中衣は日常の作業や就寝時に(現在は作務衣(さむえ))用いた。
また、袈裟は糞(ふん)のように捨てられたぼろ布をつなぎ合わせてつくったとこから糞掃衣(ふんぞうえ)ともよばれていた。
この袈裟は梵語で「カサーヤ」といって汚濁色ということで、この語源よりカーキ色といわれるようになった。

こうしてインドでは出家僧侶は袈裟を主体とした質素な生活をしていたのが仏教が北方に伝わり中央アジアより中国に伝わるにつれ寒さをしのぐため袈裟の下に次第に下衣を着用することになったという。これが法衣となる。
わが国の僧侶は儀式時に僧階によって色がちがった法衣を着用し、その上に袈裟をかける。
袈裟は右肩をぬいでいるのは、相手に敬意をあらわすためのインドの習慣がそのまま伝わったものである。