第11話 因果 (いんが)
「因果をふくめる」とか「因果な商売だ」などと使われるこの語は、「原因結果」を略して因果となったものです。物ごとすべて、原因があれば必ず結果があり、結果がある以上は必ず原因があるというのが因果の法則です。原因のない結果は絶対にありえません。そのような法則によって、世の中のすべては変化を続けているわけです。
その因果を私たちの生活にあてはめてみると、善・悪いずれの行為も、必ずその報い(結果)があって、善い行為には善い報い(善因善果)が、また悪い行為には悪い報い(悪因悪果)があります。しかも、その報いの現れ方は一定ではありません。生きている間に、その結果が現れることもあるでしょうし、次の世代になってから、その結果が現れることもあるでしょう。
また、何百年もたった後世になってから結果が現れるということもあるかもしれません。 いずれにしても、ナスの種をまいてトマトが結実することは通常ではありえないように、それ相応の報いがいずれ現れるものです。一日一日が後に善い結果となって実を結ぶようすごしたいものです。
なお、「因果をふくめる」とは、事の因果関係を説明し納得させることで、「因果な商売」とは、その商売をやらねばならない何かの原因があったという意味でしょう。
「ことばの旅」静岡県成道寺住職伊久美清智師、著より