第132話 料簡(りょうけん)

「料」は考え、「簡」は選ぶという意味があります。師匠が弟子たちをさとりに導くための臨機応変の手段で、四つの方法があり「四料簡」といわれています。

  • 一、自分自身を見つめることをやめさせ、見えたり聞こえたりする周りのものごとに心を集中させること。我執を捨てさせることを目的とする。
  • 二、周りのものごとへの関わりをシャットアウトさせ、本来の自分自身を見つめさせること。ものごとへの執着(しゅうちゃく)を断ち、自分の本当の姿を自覚させることを目的とする。
  • 三、自分自身のことも、周りのものごとをも、ともに心にかけさせないこと。自分もふくめて、一切のものごとは「空(くう)」である、つまり、ことばも考えも及ばないものであるということを自覚させることを目標とする。
  • 四、自分自身をも見つめさせ、ものごとをも見つめさせること。執着をまったく離れて、自分自身をふくむ一切のものごとをありのままに受けとめさせることを目的をする。

転じて、いくつかの考えの選択肢があるなかで、一つの選択肢を選ぶこと、さらには、考え方一般をいうことばとなり、「そういう料簡でいられたのでは、こちらはたまったものではない」「それは悪い料簡だよ」などというように使われています。了簡、了見、量見とも書きます。

静岡県成道寺 伊久美 清智師 著より