建築物について

耕雲寺が平成3年にこの地に移転して以来、国内外600名余りの人々が耕雲寺の建物を見学にみえました。 元々、すり鉢状だった地形をそのまま生かし、お寺の建造物としての風格を損なうことなく、木、鉄骨、コンクリートを融合させ、現代的要素と古典的要素を共存させて建てられたものです。

正面のモダンなコンクリートの山門をくぐり抜け、階段を降りると、最初に目につくのが右手にある本堂です。本堂の屋根は寄せ棟造り本瓦葺きで、周りの住宅街に違和感や重圧感を感じさせない、お寺の屋根としてはめずらしく緩やかなカーブをえがいています。

そのまま階段を降りると、地上より2階ほど下がった所なのに明るく、空が広く見え、心地良い空間が広がっています。そこは地盤の底まで光を引き込むためハーフミラーのガラスをふんだんに使っている所以です。
右手にある玄関を入ると、その階には坐禅堂、客殿等があり、ここ耕雲寺は本格的な坐禅堂をもつ数少ない寺院の1つです。

建物の中の階段を上がると本堂があり、特に本堂は伝統的な木造と近代的な鉄骨が共存し、さらにそこにトップライトを取り入れ、類例を見ないものとなっているのは、基本的に和様に基ずき、現代と古典を折衷化することなく各々を調和融合させているからです。
地形がすり鉢状であったため、地下工事に終始したという程に難しい施工も含め設計士鈴木了二氏、竹中工務店、檀信徒、前住職の熱意で4年という年月を経て完成しました。