第102話 彼岸(ひがん)
昔から『暑さ寒さも彼岸まで』と言われているように、三月や九月になると、しだいに過ごしやすくなってまいります。このお彼岸という行事は春と秋の二回営まれます。それぞれ春分、秋分の日を中心にして、各七日間を「彼岸会(ひがんえ)」と呼び、春分、秋分の日は、共に、「お彼岸のお中日」といって、昼と夜との長さがほぼ同じであり、太陽は真東から上がって真西に沈むことは、ご存じのとおりです。
『彼岸』の語源はインド・サンスクリット語のパーラミター(Paramita)で、これが漢字に訳されて「波羅密多(はらみた)」となり「完成・完全」を意味します。彼岸とは向こう岸ということで、完成された悟りの世界に到るということです。迷いや苦悩のない、さわやかな心(境地)に達するよう、春秋年二回のお彼岸をお勤めいただくのもよろしいのではないでしょうか。
静岡県成道寺 伊久美 清智師 著より