第104話 微妙(びみょう・みみょう)
『微妙』は一般的には「びみょう」と読みます。『広辞苑』には「美しさや味わいが何ともいえずすぐれているさま。細かい所に複雑な意味や味が含まれていて、何とも言い表しようのないさま。」と載っています。この言葉も、もとはサンスクリット語を漢字に訳したもので、仏教経典では、これを「みみょう」と読み、お釈迦さまの教えは「みみょう」だと書かれています。お釈迦さまの言葉の表面の意味だけを、ただ、ボケーッと追っているだけでは、とてもじゃないが真意は理解できない。よほど注意深く心を集中し、思いをこらさないと、つい見すごしてしまうことになるということです。子どもの微妙な心の動きを敏感に察知できるのも親なればこそ。『微妙』をいう言葉のもつ意味合いを微妙に感じ取っていただきたいと思います。
静岡県成道寺 伊久美 清智師 著より