第120話 微塵(みじん)
「木端微塵にくだく」「ニンジンをみじん切りにする」「そんなつもりは微塵もない」などと用いられる「微塵」は、インド古語サンスクリット語を語源としている言葉で、「小さな」を意味します。もはやこれ以上小さなものはない、これ以上分割することのできないというものを「最高に小さな」ということから、これを漢字に訳したのが「極微」、物質を形成する最小単位というから「原子」のようなものと考えてよいでしょう。この「極微」が上下四方の六方に集合した一団を「微塵」というと定義されていますが、実際には「小さい」「少し」といった意味で使われています。池や沼などの水中にいる動物の「ミジンコ」(微塵子)という名前のルーツもここにあったのです。
静岡県成道寺 伊久美 清智師 著より