第71話 仏さまの分類法
仏教では沢山の仏が語られ、多くの種類の仏像がつくられているが、一体、それぞれの仏は別個なものか、それとも同じものなのだろうか? これを分かりやすく説明するために、仏教では仏を法身仏(ほっしんぶつ)、応身仏(おうじんぶつ)、報身仏(ほうじんぶつ)の三つに分類している。
まず、第一の法身仏とは、この宇宙をなりたたせ、すべての生類を仏たらしめる絶対原理で、時間、空間を超越してどこにもあまねく存在する大日如来のような汎神教的仏である。
第二の応身仏とは、絶対原理が人格化されてこの世に現われ、再びもとの仏土に還るところから化身とも呼ばれ、釈迦のように悟って覚者となった者を指し、わが国では、この仏土に還るという考えから、死者が成仏することを仏(ほとけ)になったという多神教的仏である。
第三の報身仏とは、宇宙の絶対原理と人格身が合体したもので、阿弥陀如来のように永遠な真理の生きた姿であらわれる一神教的仏である。
このように仏教では、どの仏に重点をおくかによっていろいろな仏を汎神教的とも、多神教的とも、一神教的とも解釈できる。
しかし、もともと仏は神ではなく、神性を一切否定するので、無神教的でもある。仏教は西洋的な学問の範疇に組み入れることのできない宗教体系を持ち、これらの仏に共通するものは、誰でも悟りに達すれば仏の功徳を共用できるという点である
出典:松涛弘道著「誰もが知りたい217項 仏教のわかる本」廣済堂出版
1974年出版 21ページ