第5話 諦める (あきらめる)

一般的には、どうにかしようという気持ちを捨てさせることで、消極的なマイナスイメージをもっていることばです。
この語は、仏教に起源をもっていますが、仏教では最高のプラスイメージをもったことばなのです。
「諦」は、「真実」を意味するインド古語サンスクリット語からの漢訳語です。したがって「諦める」は「真実を明らかに知る」「さとる」という意味をもっています。
真実をさとれば、ああもしよう、こうもしようとして、あくせくすることもなく、なにが起きてもジタバタすることがない。
こんなけっこうなことはないのですが、一般的につかわれている意味合いは、その反対になってしまっているのです。
「ことばの旅」静岡県成道寺住職伊久美清智師、著より