第133話 蓮華(れんげ)

レンゲといえば春に道端などに咲く草をいいますが、ここでいう蓮華は沼や池などに咲くハスの花のことです。
仏教においては、なくてはならない花の一つです。

古代インドでは蓮華蔵世界といってハスの花の中に一つの宇宙を考えていました。蓮華という文字の付いた経典もたくさんあります。また、仏像の多くは蓮華座というハスの花の台座にのっていたり、ハスの花を持っている仏像もあります。
ハスは泥沼の中から生じて泥に染まらず、清浄で気品ある花を開きます。この世の中を泥沼にたとえ、人間も汚濁の世にあって、それに染まらず、その汚濁を養分としてハスの花のように清らかな心の花を咲かせたいものです。

静岡県成道寺 伊久美 清智師 著より